せかいの「りょうりおうゆく」ということから |
世界の「料理王逝く」ということから |
冒頭文
「世界の食通から『料理の王』と賛美されたフランス随一の板前オウグュスト・エスコフィエ老がこのほど亡くなった。 翁は外国にあって——わけても英・独・米等の地に永く留まって、フランス料理の醍醐味(だいごみ)を遍(あまね)からしめたので、『美食の大使』とも呼ばれていた。 ロンドンのサボイ・ホテルやカルトンで腕を揮(ふる)っていた頃には、どれほどの喰(く)いしん坊がはるばる海を渡って彼の皿
文字遣い
新字新仮名
初出
「星岡」1935(昭和10)年
底本
- 魯山人の美食手帖
- グルメ文庫、角川春樹事務所
- 2008(平成20)年4月18日