しろうとせいとうほんがまをきずくべからず ――せいとうじょうについてかつてまえやまひさきちさんをげきどせしめたわたしのあやまち――
素人製陶本窯を築くべからず ――製陶上についてかつて前山久吉さんを激怒せしめた私のあやまち――

冒頭文

(一) 私は日頃の心がけとして、後悔になるようなことは決してせんつもりでいるが、事実は、どうしてどうして大いに後悔することが次から次へ湧いて出て当惑することが少なくない。 例えば先年前山久吉さんを激怒せしめたなどはその例のゆゆしき一つである。それが場所もあろうに三越の四階、私の作陶展覧会場でである。従って多勢の人ごみの中でだ。相手は耳順、私は知天命に近からんとする者、この二人が勢い

文字遣い

新字新仮名

初出

「星岡」1934(昭和9)年

底本

  • 魯山人の美食手帖
  • グルメ文庫、角川春樹事務所
  • 2008(平成20)年4月18日