しょうせいのあけくれ
小生のあけくれ

冒頭文

山というほどの山ではないが、山中での朝夕起臥(きが)三十余年、ほとんど社交のない生活を営みながら、小生は時に快速船のように、何事をも進ませずにはいられないクセを持っている。 自慢ではないが、ソレッというと、すべてに超スピードで活動するために、周辺の助け舟は目のまわるようなテンテコ舞いをさせられるが、小生から見るとすべてが鈍速(スローモー)で見ていられない。第一快調を欠いている。その理由を

文字遣い

新字新仮名

初出

「春夏秋冬 料理天国」1959(昭和34)年

底本

  • 魯山人の美食手帖
  • グルメ文庫、角川春樹事務所
  • 2008(平成20)年4月18日