ことうじのかち ――とうきょううえのまつざかやろうじょうにて――
古陶磁の価値 ――東京上野松坂屋楼上にて――

冒頭文

展覧会のことはただいまお聞きのとおりでございますから繰り返して申し上げませぬが、私に喋(しゃべ)れといわれましたことは、古陶磁はなぜそんなに尊いかということをいってくれというお話でありましたので、それをうまく申すことは出来ないと思いますが、まあ簡単にそれをいえるだけ申し上げてみたいと思っております。 それで私の察するところ古陶磁はなぜ尊いかということは、一つの茶碗で一万円のもあり、五万円

文字遣い

新字新仮名

初出

「星岡」1934(昭和9)年

底本

  • 魯山人の美食手帖
  • グルメ文庫、角川春樹事務所
  • 2008(平成20)年4月18日