くるまえびのちゃづけ
車蝦の茶漬け

冒頭文

えびのぜいたくな茶漬けを紹介しよう。これまた、その材料の吟味(ぎんみ)いかんによる。これから述べようとするのは、東京の一流てんぷら屋の自慢するまきと称する車えびの一尾七、八匁(もんめ)までの小形のもので、江戸前(えどまえ)の生きているのにかぎる。横浜本牧(ほんもく)あたりで獲(と)れたまきえびを、生醤油(きじょうゆ)に酒を三割ばかり割った汁で、弱火にかけ、二時間ほど焦(こ)げのつかないように煮つめ

文字遣い

新字新仮名

初出

「星岡」1932(昭和7)年

底本

  • 魯山人の食卓
  • グルメ文庫、角川春樹事務所
  • 2004(平成16)年10月18日