いなせなしまのはつがつお
いなせな縞の初鰹

冒頭文

鎌倉を生きて出でけん初鰹(はつがつお) 芭蕉(ばしょう) 目には青葉(あおば)山ほととぎすはつ鰹 素堂(そどう) 初がつおが出だしたと聞いては、江戸っ子など、もう矢も楯(たて)もたまらずやりくり算段……、いや借金してまで、その生きのいいところをさっとおろして、なにはさておき、まず一杯という段取りに出ないではいられなかったらしく、未だに葉桜(はざくら)ごろの人の頭にピンと来るものがある。

文字遣い

新字新仮名

初出

「朝日新聞」1938(昭和13)年

底本

  • 魯山人の食卓
  • グルメ文庫、角川春樹事務所
  • 2004(平成16)年10月18日