あゆのくいかた |
鮎の食い方 |
冒頭文
いろいろな事情で、ふつうの家庭では、鮎を美味く食うように料理はできない。鮎はまず三、四寸ものを塩焼きにして食うのが本手であろうが、生きた鮎や新鮮なものを手に入れるということが、家庭ではできにくい。地方では、ところによりこれのできる家庭もあろうが、東京では絶対にできないといってよい。東京の状況がそうさせるのである。仮に生きた鮎が手に入るとしても、素人(しろうと)がこれを上手に串(くし)に刺して焼くと
文字遣い
新字新仮名
初出
「星岡」1932(昭和7)年
底本
- 魯山人の食卓
- グルメ文庫、角川春樹事務所
- 2004(平成16)年10月18日