あんごしんにほんふどき 03 だいにかい とやまのくすりとえちごのどくけし≪とやまけんにいがたけんのまき≫
安吾新日本風土記 03 第二回 富山の薬と越後の毒消し≪富山県・新潟県の巻≫

冒頭文

発端 先月日向を旅行したとき、宮崎市内の鉄道沿線に「クスリは富山の広貫堂」という広告板を見た。富山の薬は販売員が各地の家庭を一々訪問して薬袋を預けて行く特別な商法であるが、南の果の日向にまでその行商の足がのびているのかと思うと、本拠地を訪問したい意欲がうごいたのである。 私もずいぶん富山の薬をのんだものだ。ちょッとした病気になる。壁や柱に富山の薬袋がぶらさがっているとつい飲むようになるのは人

文字遣い

新字新仮名

初出

「中央公論 第七〇年第三号」中央公論社、1955(昭和30)年3月1日

底本

  • 坂口安吾全集 15
  • 筑摩書房
  • 1999(平成11)年10月20日