ねこののみとりぶし |
| 猫の蚤とり武士 |
冒頭文
蚤とり武士 「蚤とりましょう。猫の蚤とり!」 黒の紋付きの着流しに、長目の両刀を落として差し、編笠をかむった浪人らしい武士が、明暦三年七月の夕を、浅草の裏町を歩きながら、家々の間でそう呼んだ。 お払い納め、すたすた坊主、太平記よみ獣の躾(しつ)け師——しがない商売もかずかずあるが、猫にたかっている蚤を取って、鳥目(ちょうもく)をいただいて生活(くらす)という、この「猫の蚤とり」業など、中でもし
文字遣い
新字新仮名
初出
「夕刊大阪新聞」1934(昭和9)年8月7日~12月28日
底本
- 猫の蚤とり武士(下)
- 国枝史郎伝奇文庫、講談社
- 1976(昭和51)年8月12日