すみやきちょうじゃたん けいずのかたくとみんぞくのかいりょう
炭焼長者譚 系図の仮托と民族の改良

冒頭文

一 緒言 東京朝日新聞の初刷に客員柳田國男君の炭焼長者譚という面白い読物の第一回が出ていた。奥羽地方に伝わっている炭焼藤太の出世物語で、津軽領の者は今の津軽伯爵家の四代目の君がすなわちこの人であると謂っているそうである。津軽の殿様の御舎弟の書かれた可足筆記によると、津軽家はもと田原藤太の末で、その先祖の武運にあやかる様にと藤太と名づけられたのであったが、幼少の時にその父は安東勢と戦って討

文字遣い

新字新仮名

初出

「民族と歴史 第五巻第二号」1921(大正10)年2月号

底本

  • 先住民と差別 喜田貞吉歴史民俗学傑作選
  • 河出書房新社
  • 2008(平成20)年1月30日