すおういわきやまこうごいしたんけんき
周防石城山神籠石探検記

冒頭文

明治四十二年十二月三十日、世間では年末だ師走だと餅搗きやら懸取りやらに忙しく騒いでいる中を東京帝国大学の嘱によって石城山(いわきやま)神籠石(こうごいし)探検の為に登山した。同行者は日本歴史地理学会出張員藤井、宮崎の両文学士と芦田伊人氏とで、別に、九州における熱心家にその人ありと知られたる小倉中学校長文学士伊東尾四郎君は、わざわざその任地から来会され、遺蹟報告者熊毛郡視学西原為吉君をはじめ、有志の

文字遣い

新字新仮名

初出

「歴史地理 第一五巻第三号」1910(明治43)年3月号

底本

  • 先住民と差別 喜田貞吉歴史民俗学傑作選
  • 河出書房新社
  • 2008(平成20)年1月30日