にほんにおけるしぜんじだいのれきしけんきゅうについて
日本における史前時代の歴史研究について

冒頭文

闇の夜に、鳴かぬ烏の声聞けば、生れぬ先の父ぞ恋しきということがある。われらがもし史前時代の歴史を研究したいなどとでも言おうものなら、それはあたかも生れぬ前の父を恋しがってみたり、真暗闇の夜に鳴きもせぬ烏の声を尋ねんとするようなもので、歴史家の仕事というよりも、むしろ禅学者の公案にでもした方がよいだろうと言われるかも知れぬ。少くも日本においては、近いころまでいわゆる史前時代の研究は、主として国学者や

文字遣い

新字新仮名

初出

「史前学雑誌 第一巻第一号」1929(昭和4)年3月

底本

  • 喜田貞吉著作集 第一巻 石器時代と考古学
  • 平凡社
  • 1981(昭和56)年7月30日