しゃみせんのどう |
三味線の胴 |
冒頭文
うちの松篁は、私の顔を三味線だと言う。 これは私の額口が、さよう独立的と言いますか後家星と言いますか、生え際が角ばっている。普通の女の人は生え際がせまくて山形になっている。ところが私はその反対に角がたっている。これは私ばかりではなく、うちのおばあさんも平たくなっている。つまり四角い。で「顔の輪廓が四角いあの三味線の胴みたいな」と、そんな悪口を言う。 顔の道具立は、さて何と言いま
文字遣い
新字新仮名
初出
「都市と芸術」1930(昭和5)年3月号
底本
- 青帛の仙女
- 同朋舎出版
- 1996(平成8)年4月5日