びみょうさいびみょう
美妙斎美妙

冒頭文

一 欧化熱の早産児 丁度この欧化主義の最絶頂に達して、一も西洋、二も西洋と、上下有頂天(うちょうてん)となって西欧文化を高調した時、この潮流に棹(さお)さして極端に西洋臭い言文一致の文体を創(はじ)めたのが忽(たちま)ち人気を沸騰して、一躍文壇の大立者(おおだてもの)となったのは山田美妙斎(やまだびみょうさい)であった。美妙斎はあたかも欧化熱の人工孵卵器(ふらんき)で孵化された早産児であ

文字遣い

新字新仮名

初出

「きのふけふ」博文館、1916(大正5)年3月

底本

  • 新編 思い出す人々
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 1994(平成6)年2月16日