こうき〔『ろへんやわしゅう』〕 |
後記〔『炉辺夜話集』〕 |
冒頭文
「炉辺夜話集」といふこの本の題名は、この本にあつめられた五ツの物語に対して、作者がどのやうな心持をもつてゐるか、それを率直に表しもし、又、ある意味では、作者が文学そのものをどのやうなものに考へてゐるかといふことを、率直に露呈もしてゐます。 つまり私は、この題名が示す通り、人々が、炉辺のまどゐの物語をきくと同じなつかしさで読み、そのやうな感情の中で心に残り、さうして、目に見えぬ小さな肉のひとき
文字遣い
新字旧仮名
初出
「炉辺夜話集」スタイル社出版部、1941(昭和16)年4月20日
底本
- 坂口安吾全集 03
- 筑摩書房
- 1999(平成11)年3月20日