みものはがっぽうがつじ
見ものは合邦辻

冒頭文

東京劇場の七月興行のよさは「合邦辻」のよさである。これに俊徳丸を菊五郎がつきあつたら、どんなに歌舞妓復興の気運を高めることだらう。「髪結新三」は、菊五郎式の解釈は、富永町の場で急に善良な人間になつてしまふ。これではお熊が、この無頼漢に恋を感じたといふ脚本が、も一つ書かれさうである。「かつをは半分もらつてゆく」の軽くさらふ様な味が役者にすら感じられなくなつてゐる。私など場違ひの者には、年々勘にはづれ

文字遣い

新字旧仮名

初出

「スクリーン・ステージ 第六十五号」1947(昭和22)年7月22日

底本

  • 折口信夫全集 22
  • 中央公論社
  • 1996(平成8)年12月10日