ふういんぎりまんぴょう
封印切漫評

冒頭文

紙治で唸らされた印象のまだ消えやらぬ東京人士の頭に、更にその俤を深むる為に上つて来た鴈治郎の忠兵衛。観客の予期と成駒屋の自信と、如何程まで一致したか。其は感情派の批評に任せて、自分は唯旧大阪の遊廓の空気と、浪花風の各種の性格とが、各優人の努力によつて、何れ位実現せられたか、其紹介をすれば足る悠々たる客観党。二階正面の桟敷に陣どつて、前山の雲と脂下る。女寅のおえん、容貌(カホツキ)なら物ごしなら宛然

文字遣い

新字旧仮名

初出

「毎日電報」1909(明治42)年10月15日

底本

  • 折口信夫全集 22
  • 中央公論社
  • 1996(平成8)年12月10日