はなのまえはなのあと
花の前花のあと

冒頭文

歌舞妓にからんだ問題は、これをまじめにあつかふと、人が笑ふくらゐになつてゐる。と言ふと誰でも、それは誇張だと思ふだらう。けれども、さう言ふ下から、誰でもまじめには考へてゐない。うつちやつておいたつて、どうなとなるだらうし、惜しいやうでもあるが、法隆寺だつて焼亡する世の中だから、それに比べては、大した悲しみでもない、と言はず語らぬ、さう言ふ簡単な見通しめいた気持ちが、誰の頭にもあるのではないか。事実

文字遣い

新字旧仮名

初出

「文学界 第三巻第一号」1951(昭和26)年1月

底本

  • 折口信夫全集 22
  • 中央公論社
  • 1996(平成8)年12月10日