てならいかがみひょうばんき
手習鑑評判記

冒頭文

その写実主義が、意外に強靭であり、理論的に徹したところのあるものだといふことを、こんどの幸四郎の舞台に見て、しみ〴〵快く感じた。日本の自然派のまだ現れなかつた明治三十年前半の写実主義時代から、ともかくこれを貫いて来たのは、この人だけであらう。そのことが、喜寿の賀を舞台の「白太夫」とともに受ける今日になつても、彼の芸の自由を奪ひ、空想を失はせ、何処か完成感の足らぬものにしてゐる理由だとする考へに変り

文字遣い

新字旧仮名

初出

「スクリーン・ステージ 第一号」1947(昭和22)年6月20日

底本

  • 折口信夫全集 22
  • 中央公論社
  • 1996(平成8)年12月10日