てならいかがみざつだん |
| 手習鑑雑談 |
冒頭文
私どもの、青年時代には、歌舞妓芝居を見ると言ふ事は、恥しい事であつた。つまり、芝居は紳士の見るべきものではなかつた。だから今以て、私には、若い友人たちの様に、朗らかな気持ちで、芝居の話をする事が出来ない。私の芝居に就いての知識は、謂はゞ不良少年が、店の銭函からくすねて貯めた金の様な知識で、理くつから言へば何でもないことだが、どうもうしろめたい。どうも私の話につきまとふ卑下慢式なものを嗤つて下さい。
文字遣い
新字旧仮名
初出
「日本演劇 第五巻第七号」1947(昭和22)年10月
底本
- 折口信夫全集 22
- 中央公論社
- 1996(平成8)年12月10日