そうじゅうろうをいたむ
宗十郎を悼む

冒頭文

播州姫路といへば、沢村一家と因縁のありさうな土地である。そこへ興行で回つて行つて、倒れた宗十郎を思ふ。千鳥の声を幻想して、静かな眠りに落ちて行つたのだらう。大谷派の本願寺の三代前の法主大谷光瑩さんの落しだねだといふうはさが、古くからあつた。近ごろでは、それを事実と信じる人が多くなつた。それはどうでもよいが、彼の芸質を考へるには、相当に意義のある知識である。「苅萱」や「良弁」の抜群であつたのも、先天

文字遣い

新字旧仮名

初出

「東京日日新聞」1949(昭和24)年3月4日

底本

  • 折口信夫全集 22
  • 中央公論社
  • 1996(平成8)年12月10日