すずみしばいとかいだん
涼み芝居と怪談

冒頭文

東京の年中行事は、すべて太陽暦ですることになつてゐる。勢、盆狂言も、新の七月に興行せられる訣である。「夏祭」や「四谷怪談」など今行つてしゆんはづれの芝居ではない。だが暑さの峠を越さうとする頃、どうかすれば朝夕の蜩の声が、何か寂寥を感じさせる時分が、季節感にぴつたりしてよい。さうした初秋残暑の気分にゐて、見物する積りになつてほしい。夏祭の方は、丸本歌舞妓である。書き卸しは延享二年七月、並木千柳・三好

文字遣い

新字旧仮名

初出

「新橋演舞場」1949(昭和24)年7月5日

底本

  • 折口信夫全集 22
  • 中央公論社
  • 1996(平成8)年12月10日