じつあくやくしゃをのぞむ
実悪役者を望む

冒頭文

大谷友右衛門は、松本幸四郎と共に、立役らしい本当の姿を持つた人だと思ひます。最大の欠点は、口元にあるらしく、そのために一寸しまらない感じを与へます。死んだ片市の敵役を見ましたが、この人は眼があまりに善良なため、その人らしくなりませんでした。友右衛門は、そんな風に、本然の姿から云へば立役・実悪と言つた風なものが向くと思ふのですが、口が邪魔をして、そこへ行けません。そこで、今日の彼には、はまり役を持つ

文字遣い

新字旧仮名

初出

「演芸画報 第二十六年第十二号」1932(昭和7)年12月

底本

  • 折口信夫全集 22
  • 中央公論社
  • 1996(平成8)年12月10日