しょうじきしょうだゆうにきたいす
正直正太夫に期待す

冒頭文

寛政八年五月四日、伊勢古市の油屋で、山田の医師、孫福斎と言ふ者が、九人斬りをしたと言ふ騒動があつたと伝へられる。これを近松徳叟が三日間で脚色し、同年七月二十五日、大阪の角の芝居にかけたものだと言ふ。所が古市側の記録では、騒動のあつたと言ふ同じ日を初日として、古市の芝居にこれがかゝつてゐる。いかに手廻しがよくても、夜の出来事を其昼に予め舞台にかけると言ふ事はあり得ないから、これはどちらかゞ間違ひであ

文字遣い

新字旧仮名

初出

「七月興行大歌舞伎 東京劇場」1948(昭和23)年6月5日

底本

  • 折口信夫全集 22
  • 中央公論社
  • 1996(平成8)年12月10日