きくごろうのかがくせい
菊五郎の科学性

冒頭文

ことしの盂蘭盆(ウラボン)には、思ひがけなく、ぎり〳〵と言ふところで、菊五郎が新仏となつた。こんな事を考へたところで、意味のないことだけれど、舞台の鼻まで踊りこんで来て、かつきりと踏み残すと言つた、鮮やかな彼の芸格に似たものが、こんなところにも現れてゐるやうで、寂しいが、ふつと笑ひに似たものが催して来た。このかつきりした芸格は、同時代の役者の誰々の上にも見ることの出来なかつたものと言へる。此を、彼

文字遣い

新字旧仮名

初出

「幕間 別册第四十五號」和敬書店、1949(昭和24)年8月1日

底本

  • 折口信夫全集 22
  • 中央公論社
  • 1996(平成8)年12月10日