かぶきしばいあとありや
歌舞妓芝居後ありや

冒頭文

音羽屋六代の主 尾上菊五郎歿す。その日遥かに能登にあり。我また、私(ワタクシ)のほとけを持ちて、盂蘭盆の哀愁、愈〻切なるものあり。亡びなきものゝ さびしさ。永久(トハ)にして 尚(ナホ)しはかなく、人は過ぎ行く 自ら撰(ツク)る所の戒名 芸術院六代菊五郎居士と言ふと伝ふ。もの思ふこと彼(カレ)の如く深く、之を表すこと彼の如く切(セツ)にして、なほ知識短きこと斯くの如きに、人は、ほと〳〵哭かむとす。

文字遣い

新字旧仮名

初出

「演劇界 第七巻第八号」1949(昭和24)年8月

底本

  • 折口信夫全集 22
  • 中央公論社
  • 1996(平成8)年12月10日