いちむらうざえもんろん |
| 市村羽左衛門論 |
冒頭文
市村羽左衛門の芸の質についての研究が、此頃やつと初まつたやうである。何にしても、此は嬉しいことだ。歌舞妓芝居のある一つの傾向は、これで追求せられて、その意義がわかつて来るだらうと思ふ。なぜ、羽左衛門が、権八や菊之助乃至は久我之助・桜丸の類の役柄に扮し勝ちであつたか。又、直次郎や、新三や、さうかと思ふと梅吉(加賀鳶)・佐七の、小善小悪にあがく市井の人々になつたのか。もつと言へば、実盛・盛綱・景時の類
文字遣い
新字旧仮名
初出
「苦楽 第二巻第二、三号」1947(昭和22)年2、3月
底本
- 折口信夫全集 22
- 中央公論社
- 1996(平成8)年12月10日