にんぎょうのきげん
人形の起源

冒頭文

人形は古くは雛と言つた。雛といふと、雛鳥とか雛型とか言つて、小さい感じが先に立つ。併し、大きい人形もあつたのである。即、巨人を偶像化した人形が過去にもあつたし、現在にもある。これは普通、疫病・風雨等の厄払ひに用ゐるので、人間が中に這入つて其役を勤める人形(譬へば、人間が肩車をした上に覆ひを被つて巨人の形を作つたりした人形)と本道の大人形とある。また中位の人形もあつた。尤、この大中小の限度をきめるの

文字遣い

新字旧仮名

初出

「子供の詩研究(「母性」改題) 第三巻第十一号」1933(昭和8)年11月

底本

  • 折口信夫全集 21
  • 中央公論社
  • 1996(平成8)年11月10日