とうほくみんようのたびから |
| 東北民謡の旅から |
冒頭文
奥州から出羽へかけての旅、時もちやうど田植ゑに近くて、馬鍬や、朳(エブリ)を使ふ人々が、毎日午前中に乗つてゐた汽車の窓の眺めでした。かうして民謡試聴会場に這入ると必、何か農耕と関係の深い民謡や民俗舞踊を見せて貰ひました。昔、芭蕉は白河を越えるとすぐ、「風流のはじめや奥の田植唄」の句を作つてゐます。此は田植ゑに都風な唄を用ゐはじめた昔物語を聞いたからでせう。奥州の村人が都の風流にふれたのは、さうして
文字遣い
新字旧仮名
初出
「東北民謡試聴団座談会記録」1941(昭和16)年5月
底本
- 折口信夫全集 21
- 中央公論社
- 1996(平成8)年11月10日