たづがね ――つるかめのげいのう――
鶴が音 ――鶴亀の芸能――

冒頭文

いかに、奏聞まをすべき事の候。毎年の嘉例の如く、鶴亀を舞はせられ、その後、月宮殿にて舞楽を奏せられうずるにて候。……謡曲鶴亀所謂五風、十雨が、度に過ぎて、侘しかつた旧年の夢についで、今年はほゝ笑ましい現実の暦を捲き返したいものである。そのための祝言にもなれば、この短文の作者なる初老の翁は望外の慶びとする。鶴亀の能は、極めての短篇で、いはゞ祝賀の舞を催さうとするだけの開口の文句に過ぎない。してなる皇

文字遣い

新字旧仮名

初出

「大阪毎日新聞」1935(昭和10)年1月4日

底本

  • 折口信夫全集 21
  • 中央公論社
  • 1996(平成8)年11月10日