たきぎのうとすしはしりのおきな
薪能と呪師走の翁

冒頭文

久しく絶えてゐた薪能が復活して、こゝに再、恒例の行事となつたのは、近年のことである。志深い大和侍の児孫と称する人があつて、南都の神事芸能を興すことを以て、偏に祖先にこたへる道と信じ、世の思議を越える奇特を行つたことによるのである。旧日本の民俗には、年の初め一月望日に御薪(ミカマギ)を積んで、平常仕へる所に勤労の誠を示す風、既に飛鳥の宮廷記録があり、現に「小正月」の習俗として残存する地方も多い。薪能

文字遣い

新字旧仮名

初出

「春日神社パンフレット」1950(昭和25)年2月

底本

  • 折口信夫全集 21
  • 中央公論社
  • 1996(平成8)年11月10日