おきなわをおもう
沖縄を憶ふ

冒頭文

一 秋の日は、沖縄島を憶ふ。静かに燃ゆる道の上の日光。島を廻る、果てもない青海。目の限り遥かな水平線のあたりに、必白く砕ける干瀬(ヒセ)——珊瑚礁の波。私は、島の兄弟らが、今どんな新しい経験をしてゐるか、身に沁みて思ふのである。島の寂しい生活も、も少し努力すれば、心だけは豊かにさせることが出来た筈であつた。元々、我々「本土日本人」と毫も異なる所なき、血の同種を、沖縄びとの上に明らかにすることなく、

文字遣い

新字旧仮名

初出

「時事新報」1946(昭和21)年8月29~31日

底本

  • 折口信夫全集 21
  • 中央公論社
  • 1996(平成8)年11月10日