ものすごきひとくいばなのかい
物凄き人喰い花の怪

冒頭文

一 バルビューさんの亡霊が市中へ出るという噂が、誰からともなく云い出された。 奇怪極まるこの評判が西班牙(スペイン)中に拡がった頃一人の勝れた心霊学者がマドリッド市長の依頼に依ってマドリッド市へ研究に来た。 市長、警視総監、新聞記者、刑事や巡査に案内されて心霊学者のフィリッポ氏が真先に訪問(おとず)れた土地というのは「バルビューさんの幽霊」がまだ此(この)浮世に生きて

文字遣い

新字新仮名

初出

「現代」1923(大正12)年11月

底本

  • 国枝史郎探偵小説全集 全一巻
  • 作品社
  • 2005(平成17)年9月15日