一 「あの、もしもし」 と女の声。 振り返って見ると白い物! 女が軒下で招いている。 午前三時! 深夜である。 「え、お嬢さん、何かご用で?」 一條弘、若き新聞記者。年齢二十四。慇懃に訊く。 場所は大阪。川口あたり。—— 「一緒に連れてって下さいよ」 「だが、一体どうしたんで?」 「お願いですよ。……妹だと云ってね」 「ははん」と一條感付いた。こん