にんげんせいぞう
人間製造

冒頭文

一 大阪の町は寂しかった。 夜(よ)はもう三時を過ごしている、つまり時刻は真夜中であった。其(その)時一人の労働者が力の無い足どりで歩いて来た。 「今日で俺は二日、飯を食わねえ、いつマア食物に有りつけるんだろう? 一寸先ぁ暗闇だ。何時(いつ)ありつけるか知れたものじゃねえ。と為(す)ると生命(いのち)の問題だ! へ、人間て云う奴ァ屹度(きっと)恐らく此様(こんな)時に盗賊(ぬすっと)根性を

文字遣い

新字新仮名

初出

「ポケット」1924(大正13)年8月

底本

  • 国枝史郎探偵小説全集 全一巻
  • 作品社
  • 2005(平成17)年9月15日