しのこうかい
死の航海

冒頭文

一 昨日のように今日も矢(や)っ張(ぱ)り太陽は西に沈んで行く。 夕陽に照らされた地中海は猩々緋(しょうじょうひ)のように美しい。船々の甲板、船々の船檣(マスト)、そして船々の煙突は焔のように輝いている。 阿弗利加(アフリカ)の南端。ポートサイド港。季節は夏の真中であった……。 港には人々が出盛っていた。ニスのような皮膚をしたヌビヤ人、ターバンを巻いた亜剌比亜(アラビヤ)人。袍(ガウ

文字遣い

新字新仮名

初出

「秘密探偵雑誌」1923(大正12)年7月

底本

  • 国枝史郎探偵小説全集 全一巻
  • 作品社
  • 2005(平成17)年9月15日