かんとんねぎ
広東葱

冒頭文

一 夕飯の時刻になったので新井君と自分とは家を出た。そして自分の行きつけの——と云っても二三回行っただけの——黄華軒(こうかけん)という支那料理店へ夕飯を食いに這入(はい)って行った。 「日本人は一人も居ないんだね」 新井君は不意にこう云ったが、自分にはその意味が解らなかった。 「日本人が一人も居ないとは?」「料理人(コック)もボーイも支那人だね……屹度(きっと)主人も支那人だろう」「何故?

文字遣い

新字新仮名

初出

「講談雑誌」1921(大正10)年9月

底本

  • 国枝史郎探偵小説全集 全一巻
  • 作品社
  • 2005(平成17)年9月15日