ていてんのびじんが
帝展の美人画

冒頭文

内緒でこっそりと東京まで帝展を見に行って来ました。 この頃の帝展はいつの間にか、私にはしっくりしないものになっているような気がします。誰の作品の何処がどうというのではありませんが、あの会場にみちあふれているケバケバしいものがいやだと思います。どぎつい岩ものをゴテゴテと盛上げて、それで厚味があるとかいう風に考えられてでもいるような作が、あの広い会場を一杯に占領しているのを見ますと私はただ見

文字遣い

新字新仮名

初出

「大毎美術 第八巻第十二号」1929(昭和4)年12月

底本

  • 青眉抄・青眉抄拾遺
  • 講談社
  • 1976(昭和51)年11月10日