むひょうじょうのひょうじょう
無表情の表情

冒頭文

◇ 私は前かたから謡曲を何よりの楽しみにして居りまして、唯今では家内中一統で稽古して居ります。松篁夫婦、それから孫も仕舞を習っているという工合で、一週に一度ずつは先生に来て頂いているという、まあ熱心さです。 家の内の楽しみもいろいろあります。私や松篁など、絵のことはそれは別としまして、茶もあれば花もあり、また唄いもの弾(ひ)きもの、その他の遊芸などもありますが、その中で謡曲、能楽の

文字遣い

新字新仮名

初出

「大毎美術 第十六巻第三号」1937(昭和12)年3月

底本

  • 青眉抄・青眉抄拾遺
  • 講談社
  • 1976(昭和51)年11月10日