らいどうせいにとむげんだいじょりゅうがか
雷同性に富む現代女流画家

冒頭文

現時の画界は未だ根本の方針が定まっているということは出来ません。あたかも混沌の時代の感があります。何々式とか何々型とか随分雑多な流派が生まれては消え消えては生まれております。作家がこうも猫の眼玉のように筆法を変えていては、とても自己本来の内心に深く滲透した芸術を創り出すということは出来ません。誰かが片暈(かたぼかし)の手法を創めれば、即刻にこれを模倣して新しい絵を気取ろうとするは甚だ狭量なことであ

文字遣い

新字新仮名

初出

「藝苑 第一編第九号」1920(大正9)年2月

底本

  • 青眉抄・青眉抄拾遺
  • 講談社
  • 1976(昭和51)年11月10日