びょうぶまつり
屏風祭

冒頭文

京都という町ほど祭の多いところも全国ですくないだろう。 そのどの祭も絢爛として天下に名を知られたものばかりだ。時代祭、染織祭、祇園祭などが代表的なものとされているが、その祇園の祭を一名屏風祭とも称ぶ——私にとって、この屏風祭は他のどの祭よりも愉しかったものである。 祇園祭になると四条通りの祇園界隈では、その家の秘蔵の屏風を表玄関の間に飾って道ゆくひとに観せるのであるが、私はそれ

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 青眉抄・青眉抄拾遺
  • 講談社
  • 1976(昭和51)年11月10日