うきよえがかのにくひつ ――はなはかすみをとおしてひとしおのふぜいがあるもの――
浮世絵画家の肉筆 ――花は霞を透してひとしおの風情があるもの――

冒頭文

浮世絵画家の肉筆というものは、錦絵とはちがった別の味わいがあるものですが、こんど蒐集陳列されたものは、屏風(びょうぶ)、掛物、巻、画帖など種々な形のものがあって、しかも何しろ二百点ばかりもあったろうと思いますから、こういう展覧会としても、なかなか見ごたえのあるものでした。私も一覧いたしまして、少なからぬ面白みを感じたしだいです。 この肉筆物はもっぱら寛永前後のものが、中心に集められてある

文字遣い

新字新仮名

初出

「大毎美術 第十一巻第十二号」1932(昭和7)年12月

底本

  • 青眉抄・青眉抄拾遺
  • 講談社
  • 1976(昭和51)年11月10日