マイクロフォン 「しんせいねん」せんきゅうひゃくにじゅうななねんさんがつ
マイクロフォン 「新青年」一九二七年三月

冒頭文

作者は大方「型」を持っています。その「型」の中で微動し乍(なが)ら創作をつづけて行くときはまずあぶな気がありません。一通りのものは作れます。そいつを何時迄(いつまで)もつづけていると作が生気を失います。「型」を思い切って破壊するか、乃至(ないし)は「型」の中に居り乍ら深く下へ掘り下げるか、どっちかにしなければなりますまい。小酒井不木氏の「疑問の黒枠」は一方「型」を深く彫り下げ一方「型」を破ろうとし

文字遣い

新字新仮名

初出

「新青年」1927(昭和2)年3月

底本

  • 国枝史郎探偵小説全集 全一巻
  • 作品社
  • 2005(平成17)年9月15日