ふたつのさくひん |
| 二つの作品 |
冒頭文
小酒井さんの「肉腫」という作(新青年掲載)依然として結構な作品です。探偵小説的加工の無いのが、一つの特色を為(な)して居ります。如何(いか)にも有りそうな事件と云うより有った事件を有りのままに纏めた——こう云い度(た)いような作品です。医師その人に成心が無く、威嚇的で無かったということも、この作品を快くしました。一種微妙な人間性を、直截簡潔の筆で描き、醒気を紙面へ漲(みなぎ)らせたのは、小酒井さん
文字遣い
新字新仮名
初出
「探偵趣味」1926(大正15)年4月
底本
- 国枝史郎探偵小説全集 全一巻
- 作品社
- 2005(平成17)年9月15日