ごぞんじよたばなし
御存与太話

冒頭文

新青年の五月号平林初之輔氏の「犠牲者」は、感銘の深い作でした。いろいろの緊急な社会問題が、ずいぶん沢山織り込んであるのが、際立った特色をなして居ります。遂(つい)に日本の探偵創作界へも、こういう作が産れたかと、感謝したいような作品です。私はこの作を読んだ時、ガルスウォシイの社会劇を、ふと心へ思い浮かべました。この作を読んだ大方の人は、可成(かな)り長い間考えさせられ、憂鬱になるだろうと思われます。

文字遣い

新字新仮名

初出

「探偵趣味」1926(大正15)年6月

底本

  • 国枝史郎探偵小説全集 全一巻
  • 作品社
  • 2005(平成17)年9月15日