こさかいふぼくしのおもいで ―そのたんねんなそうさくたいど―
小酒井不木氏の思い出 ―その丹念な創作態度―

冒頭文

◇ 小酒井不木さんが逝去された。哀悼にたえない。氏が医学界と探偵小説界に尽くされた功績の数々については、世人は大方知悉していられることと思われる。 ここでは主として氏が日常のことと執筆態度などについて書くことにする。 氏の義理堅さは有名なもので、原稿など依頼を受け、引き受けられるや、枚数期日など極めて正確で殆(ほとん)ど編集者に迷惑をかけたことなどはなかった。いつも編集者

文字遣い

新字新仮名

初出

「サンデー毎日」1929(昭和4)年4月14日

底本

  • 国枝史郎探偵小説全集 全一巻
  • 作品社
  • 2005(平成17)年9月15日