くじゃくのきについて
孔雀の樹に就いて

冒頭文

最近読んだ内外の作で、最も感銘の深かったのは、小酒井不木氏翻訳のチェスタアトンの「孔雀の樹」です。探偵小説としての筋立てから云っても、(非常に新鮮では無いにしても)一流の作に属す可(べ)きもので、最後の殿様ヴェーンの出現や、医師ブラウンが真犯人で無いなど——いや一切この事件に犯罪が無かったということなどは、最後のカーテンの下ろされるまでどんな読者でも考えられなかったでしょう。謂(い)う所の龕燈(が

文字遣い

新字新仮名

初出

「新青年 増大号」1926(大正15)年4月

底本

  • 国枝史郎探偵小説全集 全一巻
  • 作品社
  • 2005(平成17)年9月15日