おもったままを!
思ったままを!

冒頭文

文学成長の道程の中に外国文学模倣時代という時期がある。この時期は成(な)る丈(た)け早く通過すべきである。日本探偵小説の如何に長くこの時期にウロツイていることか。笑う可(べ)きである。            ○ 僕には相当探偵小説家の友人がある。彼等の話を聞いていると軽蔑したくなる。「こういうトリックは如何さまのもので」「面白うござんすな、すぐにお書きなさい」「こういう奇抜な筋があるの

文字遣い

新字新仮名

初出

「猟奇」1929(昭和4)年1月

底本

  • 国枝史郎探偵小説全集 全一巻
  • 作品社
  • 2005(平成17)年9月15日