おんぼうぼり |
| 隠亡堀 |
冒頭文
一「伊右衛門(いえもん)さん、久しぶりで」 こう云ったのは直助(なおすけ)であった。 今の商売は鰻掻(うなぎかき)であった。 昔の商売は薬売であった。 一名直助権兵衛(ごんべえ)とも呼ばれた。 「うん、暫く逢わなかったな」 こう云ったのは伊右衛門であった。 昔は塩谷家(えんやけ)の家来であった。 今は無禄の浪人であった。 「考えて見りゃあお前(めえ)さんは、私に執(と)っち
文字遣い
新字新仮名
初出
「大衆文藝」1926(大正15)年6月
底本
- 怪奇・伝奇時代小説選集2
- 春陽文庫、春陽堂書店
- 1999(平成11)年11月20日