わかひはんのはんちゅう
和歌批判の範疇

冒頭文

一「こゝろ」 その一 およそ歌を見、歌を作る上において、必らず心得て置かねばならぬ、四つの段階的観察点がある。 此観察点は、元来作者の側にあるものではなくて、読者としての立ち場から出るものであるが、作者といへども、其作物を、完全なるものたらしめむ為には、出来るだけ自分の作物を客観の位置において、推敲を重ねなければならぬ。即、此場合においては、作者即批評家といふ態度に出なければならぬのである。さ

文字遣い

新字旧仮名

初出

「わか竹 第二巻第五・十一号」1909(明治42)年5、11月

底本

  • 折口信夫全集 12
  • 中央公論社
  • 1996(平成8)年3月25日